2025/11/18 16:24
覚えていますでしょうかーーーーーーー‼️⁉️
去年のエコ茶会で、頼通発 大師の潮州朱泥手拉壺を引っ提げて登場した私たち。
白磁蓋碗原理主義に陥っていた私が、潮州朱泥手拉壺の魅力に目覚め
『茶壺よ、良くも悪くも茶葉の邪魔をするんじゃない!』
という偏見をぶち壊してくれた、あの潮州朱泥手拉壺です。
今年も持っていきます。
説明不要なのでとりあえず、持って行く潮州朱泥手拉壺の写真をこちらで先に公開します‼️‼️
どれを狙うか、皆さま予習しといてね
▼最近、頼通発老師の様子がおかしい(老師・・・もしかしてメンヘラか?!)
潮州に行くたびに老師の作業所へお邪魔しています。
いつものように紫煙をゆらめかせながら、澄みきった笑顔で轆轤を回す老師。
しかし、最近口癖のように言うようになった言葉がある
『おれは人生の残された時間で、あと何個の茶壺を作れるのかな?』
老師、まさかご病気??
私の顔色が変わったのを察したのか、老師は二〜カっと笑い
『いや、違う。実際にこれまでに沢山の茶壺を作ってきた』
『そして、おれは今正に現役なんだけど、これからもっと年老いてくる』
『人生の残り時間を考える年になった』
『当たり前だけど、時間は有限。だからこれからどれくらいの数の茶壺を作るのか?意識しながら轆轤を回しているんだ』
▼潮州朱泥手拉壺で作るべきモノはある程度作ってきた
老師が続ける
『最近は、これまでに作ったことのないものを作ってみたい』
『例えば、まったくゼロから生み出された茶壺だったり』
『宜興の紫砂壺のような美術品としても耐えることのできる茶壺とか』
『とにかく、己の皮を改めて破ってみたい』
私『老師・・・日本に沢山老師の茶壺を待っているファンがいるのだけど・・・』
私『もう、職人技と魂の塊のような茶壺はこれから作らないのですか?』
と聞いてみると
老師『まったく、作らないことはないだろうけど・・・圧倒的に少なくなるだろうな・・・』
▼その言葉の意味することは二つ
圧倒的に老師の作品の入手が困難になる
そして、希少性が出てしまい。価格が高騰してしまう
私の表情が曇ったのを見て、老師は慌てて言った
『心配するな。日本の中国茶ファンの為にできるだけ、今までのような作品を数は絞っていくが作る事は作る』
『心配しないでくれ、価格も釣り上げる事は絶対にしないから安心しろ』
と言いつつも、老師はポツリと
『これからどうなるかわからない。私が知らない事もあるかもしれないし・・・』
▼大きな工房は解散。隠れ家工房で最後の弟子を育てる
弟子たちが一生懸命に轆轤を引いていた、潮州市内にあった、大きな工房とショールームは一旦解散。
今は老師の隠れ家工房で一人の弟子だけを指導している。
老師が、タバコをぷかーっと一服しながら
『こいつは、独立するのはまだ早い。一人前になるまでワシが面倒みてやらんとな』
そして、私にウインクしながら
『最後の仕事だよ』
その言葉が、私の胸に重く響いた。
▼という事で、今回はできるだけ多くの頼通発老師の茶壺を持ってまいりました
実は、お弟子さんの作品や、頼通発老師の作品を潮州に行くたびに、持って帰っていたのですが。。。
意外と売れてしまい今回はこれだけです。
でも、これだけの頼通発老師の作品を一気に見れるのも、もう最後かもしれない。。。
▼去年のブログでも今年のブログでも、私はこう書いた
『さぁ❗️みんなで‼️今この瞬間‼️
潮州朱泥手拉壺で中国茶の最大瞬間風速を吹かせようぜ〜‼️』
そう、私たちは刹那な今を生きる茶沼の民
未来を見据えて投機的な目線で茶器や茶葉を選ぶよりも、今この一瞬に最大瞬間風速が起こる方を選ぶ人間
だからこそ、この潮州朱泥手拉壺は私たちのためにあるんだ
▼頼通発 老師が私に教えてくれたこと
去年のエコ茶会のブログで書いた、あのエピソードを覚えているでしょうか?
老師が鳳凰単叢 鶏籠刊 母樹という貴重な茶葉を振る舞ってくれた時
『せっかくなのであなたの潮州朱泥手拉壺を使いましょうよ』と私が言うと
老師は二〜カっと笑い、私にウインクしながら
『最高級の茶葉は白磁の蓋碗が一番よ』
と二人で大笑いした。
でも、今になって思う
老師は本当にそう思っていたのか?
多分、違う
老師は「道具に縛られるな」と教えてくれていたのではないか?
美味しいお茶を飲むための一つの"道具"にすぎない
それが老師の潮州朱泥手拉壺に対する哲学
だからこそ、老師の茶壺は
投機対象ではなく、毎日使うお茶道具として手に取りやすい場所に置いてほしい
美術館や飾り棚に飾るよりも、茶館でビシバシ使ったり、個人の毎日使うお茶道具として活躍してほしい
▼『模倣品や偽物が出回ることは喜ばしい事、それは世の中に認められた事だから』
老師のこの言葉も忘れられない
※頼通発 大師の模倣品や贋作が中国のネットで販売されているとのこと。皆さまお気をつけくださいね。
でも、老師は笑っていた
真似されたという事は、それだけ自分の仕事が評価されたという事だから、と
▼これが本当に最後かもしれない
11月22日(土)・23日(日) 第21回地球に優しい中国茶交流会 浜松町
今回、持っていく頼通発老師の作品たちは
老師が「これまでのスタイル」で作った最後の作品群かもしれない
これから老師は新しいステージへ向かう
己の皮を破る挑戦をする
それは素晴らしい事だけど
同時に、私たちが愛したあの頼通発老師の潮州朱泥手拉壺は
もう手に入らなくなるかもしれない
▼投機的な価値を見出すか?それともお茶を飲むその一瞬に価値を見出すか?
去年のブログでも書いたけど
宜興紫砂壺は投機対象になりうる素晴らしい茶器
反面、潮州朱泥手拉壺は投機対象とまでは言いにくいのが現状です
それでも私は、あえて潮州朱泥手拉壺を推したい
何故なら、ここまで美味しい鳳凰単叢を飲むためだけに特化した道具は無いと考えているからです
そして、今回は更に特別な理由がある
これが最後かもしれないから
詳細は会場でご覧ください‼️
▼元々、私は優雅に過ごすお茶席よりもストリートでおっさんと飲むお茶が好きだった
ギチギチなセオリーの中で飲むお茶よりも、ダラダラと意識低く飲むお茶が好きだった
そして、未来を見据えて投機的な目線で茶器や茶葉を選ぶよりも、今この一瞬に最大瞬間風速が起こる方を選ぶ人間
そんな、刹那な今を生きる茶沼だったら潮州朱泥手拉壺を一つ持ってても良いのでは?
老師は言った
『価格も釣り上げる事は絶対にしないから安心しろ』
でも、市場がそれを許さないかもしれない
希少性は価格を決める
だから、今回のエコ茶会は、本当に最後のチャンスかもしれない
▼最後に
頼通発 老師の隠れ家工房を訪れた時
一人の若い弟子が一心不乱に轆轤を回していた
老師はその背中を見つめながら、タバコをぷかーっと一服
『ワシの最後の仕事は、この子を一人前にすることだ』
『そしたら、ワシは新しいことに挑戦できる』
『人生の残り時間で、まだやれることがある』
その言葉に、私は何も言えなかった
ただ、頷くことしかできなかった
※去年のブログはこちら
▼頼通発 老師作









▼弟子たち作



