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2024/11/17 19:05


お茶は嗜好品です。嗜好品にメリットとデメリットを謳うのは良くないと考えます。

しかし、私の考えや潮州朱泥手拉壺の作家さんと情報交換した後に解った事を書いていこうと思います。


▼先ず最初に白磁蓋碗と比べてのメリットと考えられる部分についてご紹介しようと思います(いきなりメリットについて語りだす)


これはメリットと謳ってよいのかわかりませんが

磁器の蓋碗を育てる事はできません
※磁器の蓋碗は蓋の裏(側面)を削り込んでおり、その部分を胴体の内側に擦り付けていくため、使えば使うほど内部の輝きは失われます
残念ながら蓋碗は消耗していくものです(沖泡道具としての価値は下がりませんが美的価値は下がっていく運命)

潮州朱泥手拉壺は宜興紫砂壺と同じく”育てる事”ができます

養壺の工程を経て潮州朱泥手拉壺が己のものになり、やがては次の人の手に渡っていく。

良いモノは簡単に人間の寿命を超えて残っていく。

たとえ小さな古道具でも人間の平均寿命を超えたモノは意外と多い

そして、この潮州朱泥手拉壺は簡単に人間寿命を超えて残っていくモノです

※1950年代の小杯(茶杯)、みごとな貫入。

▼続けて、茶葉と潮州朱泥手拉壺の関係性についてご紹介しようとおもいます


正直言うと、私は茶壺自体にそこまで興味がなかった。

興味がなかったと言うか『良い茶葉であれば白磁蓋碗を使いたい』と考えていました

なんと言うか『茶壺よ、良くも悪くも茶葉の邪魔をするんじゃない!』みたいな白磁蓋碗原理主義に陥っていた。

しかし、一つの転機が訪れます。

たまたま頂いた潮州朱泥手拉壺を使って、滇紅(雲南省の紅茶)をいれた時のことです。

茶湯を啜り、舌全体に茶湯を絡ませ飲み込んでみる

元々、白磁蓋碗でも深い喉越しと戻りの甘さを十分に感じることがでる優秀な茶葉であるが、潮州朱泥手拉壺を使うと

『香りに重力を感じる』のである

香りの源が明らかに、これまでと違う

茶湯自体にズッシリ感が増し、香り自体も重厚感が増している

”これはっ!!!”となり

急いで同じ潮州朱泥手拉壺を使って鳳凰単叢 蜜蘭香 足火を試してみる

滇紅と同じように茶湯と香りに重力を感じる!!これは面白いかも!!と

私の中で潮州朱泥手拉壺を仕入れない理由が払拭された瞬間でした

▼そして、もう一人。潮州朱泥手拉壺を仕入れるうえで背中を押してくれた重要人物が


茶沼の奥底に潜むタコのような魔物。台湾茶愛好秘密結社craze4TLab.主宰のまうぞうさんが
(現在Xのアカウント @craze4_t は鍵垢にて大暴れ中、怖いもの見たさにフォローしてみてね。本当は寂しがりやの優しいタコよ)

ご存じの方は多いと思いますが、台湾茶愛と茶壺愛と急須愛に溢れた偏愛の持ち主で、台湾茶周りの知識のエグさは頭一つ飛び抜けている印象・・・

その、まうぞうさんから

『潮州朱泥手拉壺って宜興の茶壺と比べてそこまで高くないじゃん、しかも容量小さいし、薄くて軽い。単叢飲む人が欲しがるんじゃないの?』というアドバイスを頂き

 ”これはやるしかないな”となり本格的に潮州朱泥手拉壺のリサーチを始めます。


▼とりあえず、様々な作家さんの作品を見てみる


今度は日本の中国茶ファンへお勧めできる作家さんを探す過程に移ります

ご存知の方も多いと思いますが、私は毎月のように潮州を訪れています。

その度に、潮州朱泥手拉壺の作家さんを訪ねたり、我々が仕入れるべき潮州朱泥手拉壺を模索していきます

そこで、一つの共通点を見つける事になるのです

それは”頼通発”というキーワード

私が、これは良いぞ!と感じた潮州朱泥手拉壺の

・作家さんの師匠が”頼通発”である

もしくは

”頼通発”御本人の作品であること

これは直接、”頼通発”さんに凸るしかない!

※チャーミングな頼通発 大師に鳳凰単叢をいれてもらう

▼頼通発 大師を訪れてみて


簡単に、”頼通発”大師を紹介しようと思います

頼通発(赖通发)

広東省潮州市出身
広東陶磁職業技術学校で教鞭をとる傍ら、八邑匠人工作室の創設者でもあり日々創作活動を行う

1996年韓山師範学院を卒業後、中国工芸美術大師である謝華 大師に弟子入りした後、2016年に八邑匠人工作室を創立
潮州朱泥手拉壺づくりの専門知識を後世に献身的に伝え、潮州朱泥手拉壺業界の実践的な人材を育成している。

潮州市工芸美術大師、潮州市陶瓷芸術大師、潮州市陶瓷芸術精英などの肩書を持つ

代表作品
《鳳鳴》《清泉》《花開富貴》《風雛雏》《太平》《梨壺》《龍舟》《扁梨壺》《牧童》

受賞歴は多すぎて割愛します

座右の銘は
『一人では非常に速く進むかもしれないが、集団であればさらに遠くまで進むことができる』(でも、最近は弱気)

RED(中国のSNS)で頼通発 大師のインタビューもあるのでよかったらどうぞ(全編中国語)

そしてなんと、一回目の工房凸で意外と簡単に”頼通発”大師に出会うことができました(ラッキー)

※実は、これはかなりラッキーな事で大師は普段、隠れ家的個人アトリエに籠もって創作活動に勤しんでいます。いきなり、お弟子さん達が、一心不乱に茶壺を制作している”外向けの工房”にいることはめったにいないそうです。

その後、訪問すること4回目にして頼通発 大師の作品を仕入れる事に成功します

毎回、訪問した際に頼通発 大師と様々な意見交換を行います

私の考えや感覚、そして疑問を頼通発 大師に投げかけながら毎回の議論がスタート

議論が進むに連れ、己の中で霧がかっていた潮州朱泥手拉壺の概念が輪郭を帯びてきます