2026/04/16 08:33
今回の人民緑茶シリーズ
ここまで、
・英徳の人民緑茶
・嵊州の越郷龍井
について書いてきました
そして今日は、私にとってもかなり思い入れの強い一品
白琳 碧螺春 福雲6号 明前 2026春
について書かせてください
▼皆さま、碧螺春は好きですか?
いきなりですが、皆さま
碧螺春は好きですか?
私は好きです
いや、好きなお茶を挙げろと言われたら
かなり高い確率で、必ず碧螺春を入れます
あの、プチっと小さく弾けるようなフルーティさ
あれがたまらない
ふわっと香るとか、じわっと甘いとか、そういう言葉でも表現できるのですが
私の中ではやっぱり
プチっと弾ける
これが一番しっくり来るのです
小さいのに、確かにいる
繊細なのに、ちゃんと印象に残る
碧螺春という茶葉には、そういう独特の魅力があります
そしてきっと、私と同じように
碧螺春をちょっと特別な緑茶だと考えている中国茶ファンは、少なくないでしょう
そう、碧螺春は
ただの有名緑茶ではない
なんか気になる
なんか好き
飲むとちょっと嬉しい
そういう感情を引き起こしてくる、罪な茶葉なのです。
▼実は去年も、碧螺春を狙っていた
実は去年も、私は碧螺春を狙っていました
ちゃんと狙っていました
洞庭碧螺春を求めて
江蘇省をあっちへふらふら、こっちへふらふら
我ながら何をやっているんだと思うくらい、さまよっておりました
しかしです
これだ!
という茶葉に、どうしても出会えなかった
全体的に味わいが霞んでいる
輪郭がぼやけている
碧螺春の白毫のように、印象までモワッとしている
そんな茶葉ばかりだったのです
もちろん、飲めば普通に美味しいものはある
碧螺春らしさが全く無いわけでもない
だけど、茶樓雨香でお出しするには違う
これは、茶樓雨香では出せないな
そう思う茶葉ばかりでした
あの時は結構悔しかった
己の仕入れ能力の低さというか
見つけきれなかった自分の未熟さというか
碧螺春が好きだからこそ
余計に悔しかったのを覚えています。
▼決めた。今年は産地に縛られない
で、決めました
今年は、産地にとらわれずに茶樓雨香らしい碧螺春を探す。と
もちろん、洞庭碧螺春という名前には重みがあります
保護区域
歴史
知名度
ブランドとしての強さ
その価値は理解しております
でも私は、もう一度言います
名前だけでは仕入れない
碧螺春という名前を買うのではなく
茶樓雨香としてご紹介したい碧螺春を探す
そちらを優先する事にしました。

▼保護区域の外にも、碧螺春はある
江蘇省の保護区域以外でも
碧螺春を名乗る緑茶は生産されています
比較的よく名前が挙がるのは
・広西チワン族自治区
・四川省
このあたりでしょうか
実際に試飲もしました
で、どうだったか?
確かに、美味しいものはあるのです
ちゃんとフルーティさもある
碧螺春的なニュアンスもある
普通に飲んで、お、悪くないな。と思うものもある
しかし
ちょっと違う
この“ちょっと違う”が、お茶選びでは一番厄介です
不味いわけではない
完成度が低いわけでもない
でも、どこか違う
そしてそういう時、私はこう考えます
これなら、茶樓雨香以外でも買える碧螺春だな。と
だったら、わざわざ私が仕入れる意味がない
私が探しているのは
どこにでもある正解ではなく
茶樓雨香がわざわざ持ってくる意味がある碧螺春
なのです。
▼茶樓雨香が選んだのは、福建省の福鼎白琳
で、今回我々が選んだのは
福建省 福鼎 白琳
でした
・・・・え?
碧螺春で福鼎?
そう思う方も多いでしょう
私も、最初はそうでした
では何故、福鼎白琳なのか?
福鼎といえば、まず思い浮かぶのは
やはり白茶の名産地としての姿でしょう
実際、去年販売した福鼎の「時を旅する白茶」シリーズも大変好評でした
福鼎は、白茶の世界において本当に強い産地です
しかし、我々にとって福鼎は
もう一つ別の意味を持つ茶産地でもあるのです
それは何か?
茶樓雨香が毎年販売している茉莉花茶の原材料茶葉は、全て福鼎産
なのです
ここ、大事です
つまり我々にとって福鼎は
白茶の産地であるだけではなく
日頃からベース茶葉として深く付き合いのある土地でもある
しかも、その品種は
白茶でよく使われる福鼎大白種の緑茶
で、このベース茶葉の形状が、どこか碧螺春のような形状をしている
・・・・あれ?
もしかして
白琳に碧螺春、あるんじゃないか?
そう思って、ダメ元で農家さんに確認してみたのです
すると
やっぱりあった。福鼎の碧螺春。
こうなったら、もう行くしかないでしょう
これは現地に行くしか無い!!!
という事で、福鼎白琳へ向かったのでした。

▼農家さんのもとで、品種別・摘採日別に飲み比べる
現地に入り、農家さんを訪ね
福鼎産の碧螺春を
・品種別
・茶摘みした日別
で試飲していきます
で、正直に申し上げます
どれも美味しい。
いや、本当に困るくらい美味しい
こうなると人間は駄目ですね
全部いっちゃっても良いんじゃね?
みたいな雑な欲望がすぐ出てくる
でも、そこで一旦冷静になります
緑茶は、やっぱりフレッシュな状態で飲んでほしい
そして今回は人民緑茶です
あれもこれもと抱え込んで
結局どれも中途半端になるより
ちゃんと一本に絞って、しっかり飲んでいただく方が良い
という事で、一種類に絞ることにしました
それにしても、改めて思いました
やっぱり福鼎は凄い。
私は個人的に政和も大好きです
あの程よい田舎感と、産地としての底力
政和には政和の魅力がある
しかし今回、福鼎白琳の碧螺春を前にして
福鼎という茶産地の総合力、底力の強さ
を改めて見せつけられた気がしました。
▼毎日飲む自分を頭の中でシミュレーションする
ここで、いつもの茶樓雨香方式に入ります
つまり
頭の中で、その茶葉を毎日飲む様子をシミュレーションする
という工程です
朝飲むならどうか
作業中ならどうか
食後ならどうか
暑い日ならどうか
ちょっと疲れている時ならどうか
そんな事を頭の中で繰り返しながら
どの碧螺春が、日常の中で一番きれいに効いてくるかを考える
その結果、選んだのが
明前の最後のロット
でした
頭採の優しさでもなく
雨前の安定感でもなく
このロットが一番、良い意味でアクセントになる
毎日飲んだ時に
「お、今日も良いな」と
気分を少し持ち上げてくれる
その絶妙な位置にいたのが、この茶葉だったのです。
▼白琳 碧螺春 福雲6号 明前2026春
では、今回の主役です
白琳 碧螺春 福雲6号 明前2026春
飲み心地は実に良い
一口啜ると、茶湯が喉の奥でふわっと消える
この感じがたまらない
重たく残らない
でも薄いわけではない
ちゃんと存在感はあるのに、後口がきれい
そしてもちろん
碧螺春らしい微かなフルーティさも、きちんとあります
フルーツの香りで例えるとグリーンキウイっぽい爽やかさ
ただ、それが過剰ではない
これ見よがしに香るわけではなく
飲んだ時に、ああ碧螺春だな。とちゃんと判るくらいに
静かに、しかし確実にいる
この感じが良いのです。
▼上投法か、蓋碗か
碧螺春というと
オーソドックスには上投法で淹れるのもアリでしょう
グラスに湯を先に入れて
茶葉をバサッと落とす
すると茶葉からぷくぷく気泡が上がっていって
その様子を見ているだけでも楽しい
あの視覚的な気持ち良さは、碧螺春の大きな魅力の一つです
一方で農家さんは
この茶葉は蓋碗を使った方が良い
と言っていました
なるほど、それも判る
香りの取り方や、液体のまとまり方を考えると
確かに蓋碗の方が真面目に美味しく入るかもしれない
しかしです
ここは中国のおっさんが飲む人民緑茶シリーズでございます
やっぱり私は
バサッと上投法でグラスに放り込んで 茶葉からぷくぷく気泡が上がっていく様子を楽しみながら おおらかに飲んでほしい
かな、と思うのです
もちろん丁寧に淹れても美味しい
でも、丁寧すぎなくて良い
この茶葉は、そこを許してくれる。

▼蘇州で見た、ちょっと面白い試飲風景
そういえば、蘇州で碧螺春をリサーチしていた時
ちょっと面白い事がありました
頭採の洞庭碧螺春なのに、わざわざ下投法で試飲を勧めてくるお茶屋さん
がいたのです
・・・・ん?
と思いますよね
普通、碧螺春ならまず上投法をイメージするでしょう
なので理由を聞いてみると
『この茶葉は品種茶だから、香り立ちが弱いんだよ』
との事
その瞬間、私は心の中でそっとツッコミを入れました
本末転倒じゃね〜か。
いや、もちろん下投法が悪いわけではありません
香り立ちがはっきりしない碧螺春であれば
下投法で工夫しながら淹れると
美味しく入る事もあるでしょう
それは判る
しかし、碧螺春の良さを引き出すために
いれ方側がそこまで必死に補助しなければならないのであれば
私は少し考えてしまう
だからこそ今回の白琳碧螺春は良かった
上投法で、ある程度おおらかに入れても
ちゃんと飲み心地が良い
ここはかなり大きいです。
▼つまりこれは、茶樓雨香らしい碧螺春である
私は去年、碧螺春を仕入れられませんでした
好きな茶葉なのに
好きだからこそ妥協できず
結果として断念した
でも今年は違った
産地への固定観念を少し横に置き
茶樓雨香らしい碧螺春とは何か?を考えて探した結果
福鼎白琳で、ちゃんと出会う事ができた
それが
白琳 碧螺春 福雲6号 明前2026春
です
有名産地の名前だけで押し切る碧螺春ではない
けれども、ちゃんと碧螺春としての魅力がある
しかも毎日飲んだ時に
生活の中で良いアクセントになってくれる
こういう茶葉こそ
我々が人民緑茶としてご紹介する意味があると考えています。
▼という事で、今年は碧螺春あります
去年、悔しい思いをしたからこそ
今年この茶葉をご紹介できるのは、結構嬉しいです
碧螺春が好きな方
あの小さく弾けるフルーティさが好きな方
そして、難しく考えずに良い緑茶を飲みたい方
白琳 碧螺春 福雲6号 明前2026春
かなり良いと思います
おっさんのようにグラスへバサッと入れて
ぷくぷく上がる気泡を眺めながら
おおらかに飲んでください
でも中身は、ちゃんと立派です
そういうギャップも含めて
実に茶樓雨香らしい一杯だと思っております
ではまた、次回
下次见
下次见

