2026/04/15 02:12

このブログは、若民之飲綠茶然 2026 〜何も考えずに飲める自由、それが人民緑茶〜 の続きです
前回、人民緑茶とは何か?という話を書きました。
高級茶の世界を否定したいわけではない
有名産地の緑茶だって、経験として飲むのは全然あり
だけど、私は毎日毎日そんなに身構えてお茶を飲みたいわけではない
私はどうせなら何も考えずに飲みたい
そういう、己の極めて切実な願望(わがまま)から生まれているのが今回の人民緑茶シリーズです
そして今回販売する人民緑茶は全部で5種類
・越郷龍井 嵊州 禹山 群体種 2026 明前
・越郷龍井 嵊州 禹山 群体種 2026 雨前
・英徳緑茶 春前峰 西洞 2026春
・舒城小蘭花 山坡緑 南港 雨前2026春
・白琳 碧螺春 福雲6号 明前 2026春
で、今日はその中から
英徳緑茶 春前峰 西洞 2026春
こちらについてお話しさせてください
▼私は英徳紅茶の故郷へ向かった
そもそも、何故この茶葉に出会ったのか?
私は今回、英徳紅茶の故郷にとある農家さんを訪ねました
理由は明確です
同じ広東省で育まれている単叢紅茶と英徳紅茶の相違点を、現地でしっかり確認したかったから
単叢紅茶には単叢紅茶の良さがある
英徳紅茶には英徳紅茶の文脈がある
同じ広東省だからといって、一緒くたに語るのは雑すぎる
だったら現地へ行って、自分の舌と鼻と身体で確かめるしかないでしょう
という事で、農家さんのもとへ向かったわけです。

▼試飲台の上に置かれた、二つの大きな袋
そして早速、農家さんの試飲台についたその瞬間
私の目に、二つの大きな袋が飛び込んできました
その袋には、走り書きでこう書かれている
绿茶
・・・・え?
英徳に住んでいる人も緑茶飲むの?
いや、英徳に緑茶がある事は知っていました
知ってはいたけれども、やはり英徳といえば紅茶のイメージが強い
だからこそ、あまりにも雑然と、あまりにも日常の顔で置かれているその緑茶の袋を見た瞬間に、私の中の何かがザワついたのです
これは、ちょっと気になるぞ。と
▼紅茶の名産地なのに、結構みんな緑茶を飲むらしい
なので、農家さんにざっくり聞いてみました
『英徳の人って、普段どれくらい緑茶飲むんですか?』
すると返ってきた答えは、極めてあっさりしておりました
結構飲むよ
との事
おおおおおおい
紅茶の名産地なのに!?
しかし、言われてみればそうなのです
例えば武夷山でも、農家さん以外の方が意外と緑茶を飲んでいたりする
毎日毎日、同じお茶ばかり飲んでいたら流石に飽きる
・・・・いや、潮州人を除く
あの方々は、本当に鳳凰単叢を飲み続ける
もはや狂人的ですらある(褒めてます)
でも普通は、どれだけその土地に名高い銘茶があっても、日々の生活の中では別のお茶も飲む
そう考えると、英徳の人民が緑茶を飲んでいるというのは、何も不思議ではない
むしろ自然だ
そして私は思いました
これは、まさに人民が飲む緑茶ではないか!と。
この瞬間、私の中で英徳緑茶への興味が一気に膨らんでいきました。

▼二種類の緑茶に絞って試飲してみる
という事で、試飲です
候補は二種類
一つはガチの安い緑茶
もう一つはちょっと良い感じの緑茶
この二択、実に良い
人民の現場に来た感じがします
では、まず前者から
ガチの安い緑茶は、実に荒々しかった
荒々しいけれど、別に飲めないわけではない
むしろ普通に飲める
しかし、飲んだ瞬間に己の脳裏に浮かんだのは
私がいつもお世話になるような中国の安宿のアメニティのティーバッグ
あの味わいです
うん、判る
こういうの、ある
そしてこれもまた人民の現実
ただ、普通に飲めるけれども、わざわざここで取り上げて日本の茶沼へ届けたいか?と言われると
そこまでの決定打は見当たらない
特筆したい部分が見つからなかった
私はこういう時、無理に褒めません
褒めるために茶葉を探しているのではなく
ご紹介したい茶葉を探しているからです
▼もう一つは、明らかに空気が違った
で、もう一つ
こちらが今回ご紹介する
英徳緑茶 春前峰 西洞 2026春
この茶葉は、新しい品種である春前峰(※)で丁寧に製茶された、実に立派な緑茶でした
※調べてみると春前峰という品種は見つけられませんでした。私の下手な広東語で農家さんと意思疎通していたため名称が間違っている可能性があります。
一新一葉で摘まれているとの事
けれども、見た目は碧螺春のように白毫がふわふわ目立つ感じではない
最初は、その外見だけ見て
おお、すごい高級感!
みたいな派手さは感じませんでした
しかしです
お茶というのは、見た目だけでは判らない
だから私は、緑茶杯などは使わずに
蓋碗で試飲しました
この時点で、私の中ではすでに勝負が始まっています

▼一煎目で、とろみと穏やかさが立ち上がる
湯を注いで、蓋を少しずらして香りを見て
一口啜る
すると、ああ、これは
高級緑茶特有のとろみと穏やかさがある
派手にわかりやすい香りで殴ってくるのではない
渋みや青さで勢いを見せつけてくるのでもない
静かに、しかし確実に
茶湯の密度で語りかけてくるタイプのお茶
この時点で、私の興味は紅茶から少しずつ緑茶へと傾き始めていました
▼二煎目で、羽衣のような蘭花香
そして二煎目
ここで空気が変わります
ふわり、と
羽衣のような優しい蘭花香
が立ち上がってきたのです
おお・・・・
なるほど、そう来たか
私はこういうタイプに弱い
最初から全部見せてこない
でも二煎目で、静かに本性を見せてくる
しかもその香り方が実に上品
重たくない
押しつけがましくない
かといって弱々しいわけでもない
ちょうどよく生活の余白に入り込んでくる香り
この時点で、私の脳内は完全に
紅茶の比較検証モードから、緑茶買付モードへシフトチェンジ
していました。
▼農家さんの何気ない一言が、全てを言い表していた
で、その時です
農家さんがぽつりと、私につぶやいたのです
『紅茶は気持ちや時間の切り替えで飲みたくなるけど、緑茶って生活に寄り添ってくれるよね』
・・・・はい、出ました
私はこういう、現場でふと漏れる一言に弱い
理屈を並べ立てた説明よりも
こういう何気ない言葉の方が、よほど本質を突いていたりする
紅茶は、時間を区切るお茶
そして
緑茶は、生活に寄り添うお茶
この言葉を聞いた瞬間、私は思いました
これは、まさに広東省の人民緑茶だ。と
しかも、ただ日常寄りなだけではない
茶樓雨香が胸を張ってご紹介できるクオリティまで、きちんと越えてきている
ここが大事です
人民緑茶だから何でもいいわけではない
生活に寄り添うからと言って、味わいを妥協するわけでもない
日常茶でありながら
ちゃんと「おっ」と思わせてくれる部分がある
その上で、肩肘張らずに飲める
このバランスを越えてきたからこそ
今回の人民緑茶に採用しました。
▼この英徳緑茶は、広東省英徳市の日常の顔をしている
私はこの茶葉を飲んでいて、すごく良いなと思ったのです
名刺代わりの一杯ではない
誰かを圧倒するための一杯でもない
自分の審美眼を誇示するためのお茶でもない
そうではなくて
日々の暮らしの横に、自然に置いておけるお茶
これなのです
朝、ちょっと頭がぼんやりしている時
作業の合間
食後
なんとなく喉が渇いた時
暑さで身体がだれている時
そういう瞬間に、気づけば手が伸びる
しかも、ちゃんと旨い
これ、強いです
ものすごく強い。

▼そして最後に、もう一つだけ
最後にもう一つだけ言わせてください
この茶葉
水出しにすると、めちゃくちゃ美味しいです
ここ重要です
英徳緑茶 春前峰 西洞 2026春
これ、冷たくして飲むと実に良い
持ち前の穏やかさと、じんわりした旨みが前に出てきて
しかも香りがきれいに伸びる
暑い日でも、仕事中でも、食事の横でもすっと入ってくる
つまり
常温でも良い、熱くしても良い、冷やしても良い
なんという生活対応力
これはもう、立派な人民緑茶です。
▼という事で、英徳紅茶の故郷から連れて帰ってきた緑茶です
紅茶の名産地で出会った
生活に寄り添う緑茶
しかも、ただの地元茶ではなく
茶樓雨香がちゃんと胸を張れる品質を備えている
それが
英徳緑茶 春前峰 西洞 2026春
でございます
紅茶の里で、人民緑茶を飲む
その当たり前の風景に触れた時
私は、ああ、やっぱり人民緑茶ってこういうものだよな。と改めて思いました
何も考えずに飲める
でも、飲むとちゃんと嬉しい
生活の中で、静かに効いてくる
そんな一杯をお探しの方に
この茶葉、かなりおすすめです
では次回
越郷龍井 嵊州 禹山 群体種 2026 明前
越郷龍井 嵊州 禹山 群体種 2026 雨前
についてです!
下次见
