2025/01/14 23:37
※潮州朱泥手拉壺の工房で通天香を頂く
11月末からの潮州滞在に実は裏テーマがあった
通天香をもっと深掘りする
これまでに販売してきた通天香はどうしても
私が“オモシロ単叢”として色物扱いしてきた事も確かである
しかし“オモシロ単叢”以外の側面や素直に美味しい通天香も探したい
そしてそれを“見つけはした”
▼改めて分かりやすい通天香とは?
興味深いのが、通天香とはっきりわかる花香は比較的若く海抜も中低山域の山場が多かった
鳳凰単叢は高山よりも低山〜中山(それでも海抜500mくらいまで)が香りが強い事で知られています
通天香はそれがかなり明確に感じられた。
これまでの仕入れにおいて中高山メイン&老叢もしくは古樹が多かったので、通天香自体の特徴を掴みにくかった部分も十分に考えられる
▼そして一番私を惑わせたのが古樹や老叢特有の叢韻
老叢や古樹はその茶樹特有の叢韻(海苔っぽさや磯っぽさ)が通天香の場合
お好み焼きや雛霰を連想してしまい最初の香りのインパクトがどうしても“華やか〜”ではなく
“なにこれ?”みたいな通天香が多かった。
言葉を返せばこれ迄に、良いとされる高樹齢かつ優秀ロットの通天香しか仕入れていなかった為
茶樓雨香に選ばれる茶葉は必然的に“なにこれ?”系の茶葉になっていたのだ
反対に
・低〜中山の茶農園産で
・チャノ木の樹齢が老叢未満
であれば、大抵の通天香は分かりやすく香型の個性がはっきりしている傾向が見受けられました
・高山域の茶農園かつ高樹齢で一般的に現地では優秀とされていない姜母香から摘まれた茶葉は香型が分かりにくく
“これって浪菜の茶樹を力技で売れそうな香型に当てはめているんじゃないの?”
と疑いたくなる茶葉も多かった印象です
※味わいの部分は厳かではあるが、香りはそこそこ
▼通天香ってニセモノ多いんでしょ?の疑問にお答えしましょう
世の中にどうしてニセモノが生まれるのか?
一番単純な理由としては
・消費者を欺き高く売れるから
に尽きると思います
じゃあ、鳳凰山ではどうでしょう?色々フィールドワークした内容を少しだけご紹介し、私の考察を述べようと思います
▼通天香=姜母香と考えても良い
セオリー通りに考えると
通天香=姜母香=棕蓑挟=一代天驕
しかし個人的に 通天香=一代天驕という部分に納得がいかない
一代天驕 はかなり特徴的でチクロを連想させる鋭さを伴う甘さを有した香型とインプットされている
それは姜母香と似ても似つかないので
一代天驕 = 姜母香
とは納得できない
然しながら一代天驕はかなりマイナー香型なので現地でもサンプル数が圧倒的に足りない
なので、私の経験値不足という側面もあるが
今年に限って言うと一代天驕を狙い撃ちして繰り返し試飲してきたので、そこまで私の考える一代天驕がそこまでズレているとは考えられない
どなたか一代天驕を飲んだ事ある方は是非感想を聞かせてほしいです
実際に通天香と棕蓑挟、一代天驕は違う香型と言う農家さんも複数いらっしゃった
※古樹の叢韻について議論をする
▼姜母香と姜花香
これまでの考察で
姜母香と姜花香は似てる
↓
共通してスパイシーなニュアンスある(紅生姜っぽい)
↓
叢韻は青のりっぽい
↓
お好み焼きっぽい香りが顔を出す
という連想ゲームをしていた
実際に叢韻がしっかり感じられる姜花香を飲んでもお好み焼きっぽさを確認できた
やっぱり名前に入ってる“姜”の文字が効いてるんだね
▼それではニセモノの話に戻します
ニセモノ生まれる背景として
通天香自体にネームバリューがあるのか?農家さんや茶商さんに聞いてみると
・実際に姜母香よりも通天香の方が認知されているので流通の段階で通天香を名乗る場合が多い
通天香ブランドと言うよりも通天香という名称の知名度が原因という方も多かった
また、通天香の中国語や日本語の紹介文を読んでみると
“天にも昇る香り”といった強めの香りを連想する言葉が散見されている
※中華文化特有の盛る表現は御愛嬌
少数の農家さんの見解ではあるが
・バチーンと香りが派手に決まった姜母香を通天香と名付ける
・地味な感じで仕上がった茶葉はそのまま姜母香として売る
・そこまで良くない姜母香はそのまま姜母香で卸売し、高品質な姜母香は通天香として卸す
と差をつけている農家さんも複数人いらっしゃった
どのみち、地味な感じの香型はあまり仕入れないので弊店は上記農家さん方式を採用しこれまで通り姜母香は“通天香”として販売を続けようと考えています
また私の主観になりますが
老叢または古樹の塌堀後のベリーっぽいニュアンスと
老叢または古樹の通天香の淡い果実香は少し共通する部分があるのと、高品質な塌堀後と通天香の叢韻の出方が似ていると感じます
なので塌堀後をニセモノ通天香として販売するのはありえるのでは?と思いました、しかし
農家が塌堀後を通天香と偽って茶商へ販売し、仕入れの段階でそれを見抜けない茶商がいるのか?と疑問が残るので
あるとしたら、街中の茶商や小売店レベルでニセモノ通天香が生まれるのでは?と考えています
しかしながら、ここまで書いておいて潮州市内および鳳凰山でニセモノ通天香を見つける事は出来ませんでした
もしかすると汕頭とか厦門、広州のお茶屋さんに行けばあるのかもね〜
続きは後半へ
へ続く