2024/04/26 21:31
質の高い食事は旅をした気分になる
今年の鳳凰単叢の毛茶(荒茶)は去年とちょっと違います。
▼去年の今頃、中国への商用ビザを無事ゲットし、約4年(?)ぶりの潮州を満喫しておりました。
中でも、鳳凰山の第一加工所で飲んだ鳳凰単叢 芝蘭香の毛茶(荒茶)の感動は今でも私の中国茶体験の中でも大切な感動として深く記憶に刻まれております。
帰国後に店主が体験した、お茶を啜り、目を閉じ鳳凰山の情景が蘇った毛茶の体験。
今年も去年に引き続き販売します。
▼ん?毛茶?何だこれ?そう思いましたか?
毛茶とはざっくり説明すると、炭焙煎前の茶葉で
釜炒りで殺青を行いその後、揉捻し乾燥させます。
この乾燥の工程で炭を使った焙煎を行う前に、薪やガスの炎である程度水分を茶葉から取り除きます。
炭焙煎前のある程度、水分が抜けた状態の茶葉を ”毛茶” と呼びます。
▼つまり毛茶とは半製品の茶葉の事を指します。
去年の今頃、鳳凰山の茶畑の近くにある一次製茶所を訪ねた際に、農家さんが
『ごめんね、ここには毛茶しかないから芝蘭香の毛茶でも飲んでいって』と
振る舞っていただいた毛茶に衝撃を受けます。
なんと、清々しい。そして清々しいが故に解りやすい花香。
鳳凰単叢の雪片や、台湾の烏龍茶の冬片に通づる清らかさ。
多少、味わいに纏まり感がなく粗さを感じるが、しっかりと鼻腔に抜ける花香もある、これはこれで面白いぞ。
”経験”として飲んでみたい人がきっといるはず!
という事で、去年は鼻息荒く毛茶を仕入れることにしました。
そして、今年も鳳凰単叢の毛茶を仕入れを迷うことなく実行に移しました。
▼そもそも毛茶は未完成の状態の茶葉なので、最終消費者の手に渡る事は想定されておりません。
しかしです、飲んでみたくないですか?炭焙煎の前の鳳凰単叢ってどうなっているのか?と。
私は、沖縄に戻ってきて潮州で買い付けた茶葉をお店の水で試飲した際に
やっぱり、この毛茶が一番鳳凰山の情景を蘇らせてくれました。
”質の高い食事は旅をした気分になる”
まさに、この毛茶には不思議な力があると思います。
▼この茶樓雨香が今回仕入れた二種類の毛茶は、去年同様にできるだけ劣化を防ぐ為、通常の毛茶よりも特別に薪で更に乾燥させ茶葉に含まれている水分量を低くしました。
農家さん、今年も私のワガママを聞いてくれてありがとう。
日本から中国大陸に渡りにくくなった昨今、今年も一足先に毛茶で鳳凰山の清らかな風を感じてみてほしいです。
▼さらに去年の毛茶と比べてどう違うのか?
去年の毛茶は茎等を取り除いた状態の毛茶でした。しかし、今年販売する毛茶は”敢えて”茎もそのまま入れております。
そう ”敢えて” です。
通常鳳凰単叢の製茶工程では炭焙煎が完了した後に、茎や成長過多の大きな茶葉を検品を兼ねて取り除きます。
去年は日本で販売するにあたり『やっぱり販売する商品なので茎は取り除いておこう』と考え、毛茶の段階で茎などを取り除いておりました。
つまり、私が去年第一加工所で飲んだ毛茶と販売した茶葉はちょっと違う。
なので今年は、より鳳凰山の加工所で飲んだ毛茶に近づけようと、そのまま茎も混入している荒々しい状態の茶葉を販売することにしました。
やっぱり、日本のコアな中国茶ファンに毛茶をお届けすると考えると
『日本向けにアレンジした毛茶(茎は取り除かれた)は必要ない!』と考え
本場物をお届けするのが私の使命だ!!という事で、そのままのスパルタンな状態の毛茶を販売することにしました。
明日のブログでどの毛茶を販売するのか?発表いたしますね