2026/10/13 02:42
ブログのあとがきを、ここ冒頭に記そうと思います
改めてこのブログを読んでみてた感想は
”なんか読んでて面白くない文章だな”です。
内容も商品説明(スペック)ばっかりでつまらんし
一つのパラグラフを読んだ後に、次のパラグラフを読もうと思わない
全くもって無味無臭でつまらない文章であります
なので書き直そうかとも思いましたが、時間もなくそのまま公開することになりました
茶樓雨香の面白くない文章で綴る、小青柑です。
▼十年寝かせた古樹の熟普洱茶を、今年採れたばかりの青い蜜柑に詰める。
我ながら、少しやりすぎだと思っている。
まぁ、十年寝かせた熟普洱茶くらいはよくある話です。
しかし、ここからがやりすぎている
▼はじめに、好きなものを2つ
小青柑(シャオチンガン)が好きです。
熟普洱茶が好きです。
柑橘系が好きです
この三つが重なった果実が、小青柑です。
だから私にとって小青柑は、好みの足し算ではなく、はじめから一つのものでした。
店をやってきた数年あまり、棚にはいつも小青柑がありました。
そして今年、その小青柑に、少しだけやりすぎました。
▼青い蜜柑に、熟茶を詰める
小青柑の柑皮は、広東省江門市新会(しんかい)で採れる茶枝柑という柑橘の、まだ熟していない幼果です。
摘むのは七月から秋。実が四十〜五十グラム、直径四十五ミリを超えたころ。
外皮は青褐色で、油室点——油の粒が入った小さな窪み——がびっしりと密集し、質は硬く、皮は薄い。
指で潰すと、強い辛い香りが立ちます。
新会の柑皮は陳皮として名高く、産地は梅江・東甲・西甲・天馬・茶坑の五つが核心産区とされます。
ここは昔から、柑皮の産地としてだけでなく、その香りの質で格付けされてきた土地です。
ひとつ誤解されがちな点を書いておきます。
青い実の皮(青皮)は、成熟した大紅柑の皮、いわゆる陳皮とは性質が違います。
伝統的な考え方では、青皮は気をめぐらせる力が強い(多分・・・)
だから毎日がぶ飲みするものではなく、食べすぎた夜にひと粒、という付き合い方が似合います。
その中に熟プーアル茶を詰める。
柑皮のアロマと、熟茶の醇厚さ。二つの香りが一つの粒に同居する。
これが柑普茶(かんぷちゃ)です。

▼正直な話を、先に
小青柑は、ここ十年あまりで一気に広まりました。
手軽で、可愛らしく、香りがよく、熟茶が苦手な人にも飲みやすい。
それは本当に良いことだと思います。
ただ、構造を素直に眺めると、柑皮の香りは茶を覆います。
中身の茶に、香りで主張してもらう必要がない。となれば、コストをかける理由は薄い。
実際、台地の熟茶、ときにはかなり粗いグレードが詰められる。
それが業界の普通です。
小青柑は、安い茶を立派な見た目に仕立てるための発明だった——そう言い切るのは言い過ぎでしょう。けれど、
「良い茶を使う必然性が薄い市場」だったのは、たぶん事実です。
だからうちは、その必然性の薄いところに、あえて反対側から手を入れてみました。
▼それでも、やりすぎた
柑:圏枝柑(新会・天馬)
乾燥:全生晒(天日干しのみ)
中の茶:熟プーアル茶
茶の産地:景邁山 2016年/布朗山 2016年
茶の樹齢 :100〜300年超の古樹
小青柑としては、やりすぎだと思います。ふつうは、こんな材料を使いません。でも、使いたかった。
▼材料の話圏枝柑——接ぎ木をしない、という贅沢
新会柑の殖やし方には、圏枝と柏枝(駁枝)があります。
駁枝は別の台木に接ぎ木する方法で、病害に強く、実もよく成る。
聞いた所によると新会の栽培面積の九割以上は、いまや駁枝だと言われます。
※裏取りしていない情報です
圏枝は違います。
オリジナルの木の枝に環状に傷をつけ、そこから根を出させて切り離し、そのまま植える。
接ぎ木をしない、原種に近い殖やし方です。
根は細く浅く広く張り、肥沃な土を要求し、手がかかる。
だから数が少なく、値も張る。新会区政府の公表資料でも、鮮果の相場は圏枝が一斤三十元を超え、駁枝は二十五元前後と、はっきり差がついています。
香りがより純粋で、皮の質がよい。作り手のあいだでは、そう扱われてきました。
茶樓雨香が使ったのは、その圏枝。
産地は天馬(てんま)——「小鳥天堂」と呼ばれる生態区に接する核心産区で、油胞が豊富、味は清甜とされます。
▼全生晒——天気に祈る乾かし方
乾かし方には大きく三つあります。
七十〜八十度の高温で烘(あぶ)る高温烘乾。
低温でゆっくり烘る低温烘乾。
そして、晴天の日射だけで乾かす全生晒(天日干しのみ)。
高温で烘ったものは、油胞が壊れます。
香りは立ちますが、長期の陳化には耐えないとされている。
全生晒は逆です。十数日から三十数日かけて、ゆっくり乾かす。手間も時間もかかり、天候に翻弄される。
急な雨で湿り戻りやカビの付着の危険もある。
だから大量に作る生産者、まず選びません。その代わり、油胞の活性が保たれ、皮の色は赤褐で柔らかく、香りは沈実、後味は清雅で、口当たりは甘潤になる。
茶樓雨香はこれを選びました。
▼景邁山 2016年——十分に甘く、シルキーな喉越し
景邁山は雲南省普洱市瀾滄県にあり、2023年9月、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
茶を主題にした世界遺産としては、世界で初めてです。
千年の茶林が、いまも村とともに生きています。景邁の生普洱茶は、蘭の香、蜜の香。柔らかく、甘く、輪郭が水のように澄んでいます。
そして、今回選んだ熟普洱茶はどうか?
十分に甘く、シルキーな喉越し。これは熟普洱茶単体で販売しても十分戦える!
そして十年の歳月が更に繊細さを生み出しているように感じとれる!!
▼布朗山 2016年——骨格をつくる古樹
布朗山は、老班章をはじめ名寨を抱える山です。
このブレンドの骨格をつくる産地と言っていい。濃厚で、厚みがあり、茶湯が甘へ転じる。
景邁の柔らかさだけでは、茶がサラっとしてしまう。
だから布朗の骨が必要。
2016年から十年。渥堆の匂いは抜け、角は取れました。

▼この熟普洱茶の値打ちは、香りではない
その値打ちは、香りには出ません。
湯の質感と、甘みの持続と、耐泡度に如実にあらわれています。とろりと濃い湯。喉の奥に残る甘み。
十数煎いれても落ちない厚み。
正直に言います。熟茶の渥堆は、産地の個性を弱めていないか?私は疑問に感じています。
ましてや、そこに柑香が乗る。
景邁の甘さ、布朗の茶湯の輪郭は、かなり覆われる。
だからこの小青柑は、「古樹の香り」を楽しむものではありません。
口の中の厚みと、後半の煎でふっと現れる甘みを、楽しむものです。
▼いま開けると、まだ早いかもしれない
全生晒の小青柑は、最初の二〜三年は柑と茶が馴染まないケースが多い。
二〜三年経って、ようやく一つの味になる。これは作り手のあいだではほぼ常識とされています。
ですから正直に書きます。いま開けると、柑が先に立ち、茶はまだ奥にいる。
「柑香が高く、茶はこれから」——それも悪くありません。
ですが、この一粒の本領は、2029年ごろから。すぐ飲めとは言いません。ただ、
一年にひとつずつ開けて、変化を見てほしい。三年後、同じ粒が別の茶になっています。
小青柑は、そういう茶です。
▼淹れ方と、保存
湯は95〜100℃
丸ごとでも、砕いてもいい。砕くと早く馴染みます。
醒茶(洗茶)は30秒くらい
1〜2煎目は短く10秒程度。3煎目以降はお好みの濃度で、茶の厚みが出てきますよ。
表面の白い粉はカビではありません。柑油が結晶した白霜です。
ふわふわした綿状で、生乾きの匂いがしたら、それはカビです。
保存は密閉・乾燥・常温。冷蔵冷凍はNG、匂いを吸うからです。
ひとつだけ。 買ったその日に開けず、半年から一年、そっと置いてください。
全生晒の柑と茶が、ようやく口をききはじめてくると思います
▼お知らせ
2026年10月28日(水)〜
阪急うめだ本店「ワールド・ティー・フェスティバル2026」
大阪・阪急うめだ本店 9階 催場この小青柑は、そこで販売します。
今年初の秋開催となるお茶の祭典です。
試飲もご用意しますが、数に限りがあります。
▼最後に
小青柑は、庶民の茶です。高い茶器も、長い作法もいらない。
湯を注げば、それでいい。その手軽さは、そのままにしておきたい。でも、
中身だけは、やりすぎておきたかった。
十年の熟普を、今年採れた青い蜜柑に詰める。それが一年後、三年後、どうなるか。
わたしは、それを一緒に見たいと思っています。
沖縄の店鋪でも販売しております。沖縄にいらしたら寄ってみてくださいね〜

