2026/06/21 01:10

武夷山で、今年の初火入れ(炭焙煎)に立ち会いました。
春の武夷山で、予めクオリティを確認し、仕入れを決めてきた毛茶(荒茶)たち。
夏の始まりを前に、その毛茶から余分な茎や黄片を取り除き、走水茶に仕上げ、そこから一気に焙煎を行います。
最初の軽火仕上げの焙煎は7月ごろまで続き、飲み頃になる秋の始まり頃には、日本のお茶ファンの手元に届く事になります。
▼発火入れの前に、我々が茶師さんたちと共有すること
我々の組む茶師さんと
・日本の市場の流れ
・今年仕入れる各茶葉の総量
・輸出のタイミング
などを共有し、大事な味わい、香り、そして飲み心地などの大まかな方向性をコームで髪を解きほぐすように揃えていきます。
そして、茶師たちが今年の茶葉を目の前にし、どう仕上げていくか?
最終的な着地点を、各山場、各品種ごとに綿密にお互い共有していきます。
もちろん、ここでは技術的な部分に対して指図や指導といったアドバイスは行いません。
そもそも、茶樓雨香は我々が選んだ茶師たちを信頼しているし
我々は、茶葉を中国茶ファンへ届けるプロであり、
残念ながら、お茶作りのプロでは無い。
あくまで議論するべき所は、今年の茶葉が仕上がった時点での完成度(具合)であったり、仕上がりのタイミング、量についての議論がメインです。
▼現地に足を運ぶ意味
お茶作りのプロと、それをファンの元へ届けるプロ同士の目線を揃える事。
これは、現地に足を運び、製茶の段階で行わなければいけません。
中国茶のように、嗜好性の高い商品だからこそ、毎年やらなければいけない。
「別にそこまでしなくてもよくない?」
「今はサンプルも送れるし、ネットで連絡も取れるじゃないか」
そんな声もあると思います。
でも、私はそうは思わない。
茶葉というものは、最終的に人が飲むものであり、
市場というものは、毎年、静かに、しかし確実に動いているからです。
だから、現場へのフィードバックは正確にかつ迅速に行う事に意義がある
▼もし、議論をやめたらどうなるか?
仮に、
「茶樓雨香のバイヤーはこんな感じの茶葉が好きだから、それに合わせて今年も茶葉を仕上げたよ」
と言う茶師さんがいたとする。
最初の1〜2年は、お互いの議論なしで、上がってくる茶葉を仕入れても大丈夫かもしれない。
しかし、必ず生産現場と市場にズレが生じる。
そのズレの原因とは何か?
それはつまり、茶師さんはバイヤーしか見ていないのである。
バイヤーのその先にいる、沢山のお茶ファンの事は知るよしも無い。
だからこそ我々は、
我々バイヤーの先にいる、お茶ファンの嗜好や流れを茶師さんたちにできるだけ正確にそしてなるべく早く届ける。怠らずに。
その役割を放棄してはいけないと我々は考えています

▼エピゴーネンに留まるか?
それに応える茶師さんしか、武夷山のエピゴーネンから脱却できないと私は考えています。
少なくとも、近年たくさんの在庫を抱える武夷岩茶は、今かなり重要な時期に差し掛かっていると思う。
どの業界もファンは毎年流動的だし
ファン層の100%がずっと好みが変わらないなんてありえない。
それは中国茶も同じ事です。
▼茶樓雨香の武夷岩茶を選んでくれている方は、大まかに3つのカテゴリーに分かれている
例えば、茶樓雨香の武夷岩茶を選んでくれている方は、大まかにこの3つのカテゴリーに分かれていると考えています。
・純粋に中国茶が好きな人
・正岩茶に拘(こだわ)らず、岩茶が好きな人
・武夷岩茶(正岩茶)のブランドが好きな人
我々は、その3つの層に向けて武夷岩茶を仕入れている。
どのカテゴリーが良くて、どれが悪いと言ったことでは無い。
毎年、それぞれの割合や好みが違ってくる。
だからこそ、今年収穫された茶葉を目の前にして、
「この茶葉はこんな感じで」
「この茶葉はあえてこうしたい」
「今年はここの山場は今回は仕入れない」
そういった判断を、一つ一つ言葉にしていく必要がある。
▼理由は◯×△だから、私はこう考える
理由は◯×△だから、私はこう考える。
こんな問題定義を茶師さんにぶつけて、やっと我々がほしい答えが返ってくる。
ただ「美味しいですね」で終わらせない。
ただ「去年と同じでお願いします」で済ませない。
そこを詰めるからこそ、今年の茶葉の輪郭が立ち上がる。
そして、そこをやるからこそ、
我々の存在意義があると考えています。

▼最後に
茶師さんが優秀であれば、それで全てが解決するわけではない。
バイヤーが茶葉を好きであれば、それで十分というわけでもない。
その間に立ち、
ファンの空気を読み、
飲み手の感覚を持ち帰り、
今年の茶葉に、どう着地させるのか。
その仕事を毎年、毎年、怠らずにやる。
それが、茶樓雨香のやり方です。
現地に行く。
議論する。
信頼する。
でも、任せきりにはしない。
エピゴーネンに留まるか?
それとも、その先へ行くのか?
武夷岩茶が面白いのは、まさに今その分岐点にいるからだと、私は思っています。
