2024/06/17 16:58
日本でも、ちらほら中国茶専門店から今年の鳳凰単叢 春茶の販売が始まり盛り上がりを見せていて嬉しい限りです
春茶販売のタイミングで潮州市内のローカル茶商や他の都市の茶城に入っている様な鳳凰単叢専門店に春茶販売のタイミングを尋ねると彼らは大体、決まってこう答えます
”鳳凰単叢は蜜蘭香から茶摘みをスタートし最後の茶摘みは八仙”
”だから、蜜蘭香は早く手に入るけど、八仙はもっと後にしか手に入らない”
そうですね、私もそうだと思います。しかし
ここに無視できない躓(つまず)きがあると私は考えます。
これって、標高と炭焙煎の回数は無視してませんか?
▼先ず、標高の話から。
これは殆どの中国茶愛好家はご存知かと思います
”鳳凰単叢の茶摘みは低山域からスタートし最後は高山域にかけて茶摘みが行われれる”
それを踏まえて考えると、高山域かつ貴重な古樹の蜜蘭香の茶摘みは春茶シーズンの後の方になる。
これは、誰もが想像しやすいかと思います。
※写真は大質山の麓、棋盘村(標高400mくらい)の鳳凰単叢 鴨屎香 の茶畑
▼焙煎の回数で市場に出てくるタイミングが変わってくる。
概ね、春茶として日本国内で販売される焙煎の軽い(清香タイプとも呼ばれています)鳳凰単叢は電気焙煎や炭焙煎(1回もしくは2回)したものが多いです。
弊店はたまたま、電気焙煎を施した鳳凰単叢を扱っていないので
一回目は乾燥後、結構早い段階でこの炭焙煎を施す(今年の高山域の古樹 蜜蘭香で言えば4月中旬以降)
その後、茶葉によっては約1ヶ月以上寝かせて2回目の炭焙煎を施し市場に流通する事になるので
比較的茶摘みの早い香型でも販売のタイミングが、炭焙煎の回数によって市場に出回る順番が茶摘みが遅い炭焙煎一回の茶葉と逆転することも普通にあります。
そして炭焙煎を2回施した茶葉は、茶葉内部の水分が1回炭焙煎の同じ茶葉と比べて水分が抜けているので、より長期保存に向くようになります。
※炭焙煎を3回施した濃香タイプ(弊店ではよく”足火”と呼んでいます)は、完成品の段階で水分量が2回炭焙煎よりも更に少なくなるので、長期保存に向いていると言われています。
▼よって今の時期に出てくる茶葉は高山域で育まれた古樹や老叢の茶葉で、炭焙煎を二回施したタイプが多い、なので
今の時期に潮州を訪れ、様々な鳳凰単叢の仕入れをするのはかなり重要なことだと私は考えています。
勿論、後から出てくる鳳凰単叢(2回焙煎、高山、古樹)が良いに決まってる!など、短絡的に捉えるのではなく
どんな単叢でもよいのでご自身の嗜好に合う茶葉を是非探してみてください。
※両方とも2回の炭焙煎を施した鴨屎香、左側が中山域(標高が大体500mくらい)で育まれた茶葉、右側が高山域(標高が大体850m)で育まれた茶葉。高山域の茶葉は見た目が引き締まっていて小ぶりです。
▼実際に3月末の段階で仕入れを決めた鳳凰単叢や、炭焙煎を一回のみ施した茶葉も仕入れております
鳳凰単叢は趣味性の高い茶葉なのでスペックを追いかけるのも楽しいですが、ご自身の感性と共鳴する茶葉を探し当てるのもきっと楽しいですよ。
私も初心に返り、スペックや投機的な視点を一旦置いといて、これからも素直に美味しいと思った茶葉を仕入れていこうと考えます。
ちょうど先月仕入れて沖縄で温存している一回焙煎の鳳凰単叢がイイ感じになったので、次回のブログは次に販売する鳳凰単叢をご紹介いたしますね〜
※この情報は弊社の仕入れ先の複数の農家さんからの限られた情報です。よって他の鳳凰単叢の農家さん、日本の小売店で販売している鳳凰単叢の仕入れ状況と違いがあると考えられるので弊社で販売している以外の鳳凰単叢については販売元へご確認ください