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2024/01/06 23:01

日本で鳳凰単叢の雪片を楽しむ方に、少しだけ茶樓雨香で販売する鳳凰単叢の雪片の背景をお話しようと思います




▼雪片と農薬について

現代社会において農作物と農薬は切っても切り離せません。それは中国でも同じことで、私が旅行で中国を初めて訪れた90年代後半

レストランで葉野菜を食べる際にそのレストランで働いているウェイトレスさんに『芽の部分は農薬が沢山かかっているから食べないほうがいいよ』と言われたことがあります。

皆さまは中国の農産物と農薬、肥料についてどんな印象を持たれていますか?

正直な所私はお茶を生業にするまで、中国の茶葉は農薬まみれだと勘違いしておりました。実際にそのような茶葉もあるでしょう。

しかし、そこは中国。中国にとってお茶は国の宝であり誇り。

結構徹底した農薬管理が施されて、実際に日本へ輸入する際に日本の検疫所での輸入手続きの際、鳳凰単叢に限って言えば事前の検査なしで検疫所の許可が降りたりします。

恐らく年間の輸入量や会社の規模にもよると思いますが、実際に検疫所の行政官へ話を伺った所

中国産の烏龍茶に限って言えばここ最近、残留農薬などで輸入できなかったケースが無いので、検査なしでOK

反対に台湾の烏龍茶は時々、残留農薬の関係で検疫所で引っかかるケースがあったらしく検査は厳しめなので、台湾茶を輸入する際は残留農薬に気をつけてください。と言われました。

台湾の烏龍茶は検査は厳しめ、中国大陸産の鳳凰単叢は検査緩め。普通逆じゃないの?と思っていた私にとってはびっくりしたエピソードです。

※日本へ正規で輸入し販売されている台湾の茶葉は日本国の定めた基準に則り輸入された茶葉であり、日本国政府に安全を担保された茶葉です。日本に正規輸入されている台湾産の茶葉に農薬の問題があるという意味ではありません。

話を、雪片に戻します。

鳳凰単叢の雪片は秋〜冬に摘まれる茶葉です。丁度今の時期が雪片の最後の茶摘みシーズンで実際に茶摘みの様子を見てきました。


今期最後の雪片の茶摘みの様子

現地で複数の農家さんとお話しをしてみると、雪片の難しい所は農薬との関係性と言っていました。

夏が終わり秋〜冬に芽吹く茶葉は特に害虫からの攻撃を受けやすく雪片用に摘む茶葉にとってこの害虫からの攻撃は良しとされていない。


そして成長をサポートする為に、どうしても雪片は芽の部分に農薬を散布せざるを得ないそうです。

勿論、真面目な農家さんは基準値以下の農薬を散布するそうですが、中には悪気なく多め(濃いめ)に散布する農家さんもいるそうで

基準値を超えた雪片と基準値以下の雪片を見分けるには難しいと農家さんも言っていました。


▼高山で雪片ってあるの?あります(断言)

一昔前までは高山で雪片を摘むことはできないとされていました。更に、真偽は定かではないのですが中国国内の一部の茶商さんが”高山の雪片は無い”と流布していた事もあったそうです。

ものすごく簡単に説明すると

・高山なのでそもそも冬に芽く葉が少なく製茶しても少量。つまり経済ロットにならない
・高山域は古樹などが多く、古樹は基本的に一年を通して春の一回の茶摘みだけ

といったところです。

去年、高山域で育成された雪片を販売したことがあり、高山域ならではの清らかさに魅了され今年も販売したい!ということで

各農家さんに高山の雪片を製作するのであればいの一番に教えてほしいと伝えておりました。

そして、今年の夏の終わりに鳳凰鎮の大質山の中山域〜高山域の茶農園を管理している農家さんから嬉しい知らせが

『大質山の山頂付近の夜来香が芽吹きそうだから試しに、ちょっとだけ農薬散布してきた。11月の立冬を過ぎて茶葉が良い感じだったら雪片作ってみるから!』

ということで、作ってもらいました。高山の雪片夜来香

現地でテイスティングしてみると、高山特有の優しく品のある味わいと夜来香特有のパウダリーな花香が明確に感じることができ満足のいく仕上がりでした。


▼大質山に登ってわかったこと

麓から、中山域までは徒歩あるいはバイクで登坂し、高山域にさしかかるとバイクで登坂するのも厳しくなり最終的には徒歩になる。

烏崠山のように車で高山域まで登ることができないので、どうしても最後は人力で生茶を背負い山と麓を行き来する。

これがかなりの重労働。夜来香の雪片が少量だったから担いで下山したけど、秋はアルバイトしてくれる人手も足りないしもしも来年新芽の量が多かったら作りたくない。とも言っていました。

そして、実際に 夜来香の畑で標高を測ってみると標高は977m




確かに高山域。

茶畑では、茶摘みを行った跡(※写真参照)も丁寧に紹介してくれました。




そして、農家さんに今回の雪片 夜来香について色々伺ってみると、こんなに上手くいくとは思わなかった。との事で

来年の雪片もチャレンジしてくれるそうです。

今回の雪片は樹齢40年程度ですが、来年以降は農家さんの大きな負担にならない程度に農家さんとの信頼関係を深めつつ様々な雪片のアイディアを実現していきたい。


▼じゃあ鳳凰単叢 雪片 夜来香はどこで買えるの?

ということで、鳳凰単叢 雪片 夜来香の販売のタイミングは

福袋に入れようと思います。福袋はパッケージングと検疫所、通関のタイミングを考慮すると大体今月の17日位を予定しています。

そして、今月開催される大大阪お茶会にも少しだけ持っていこうと思うので、関西在住の皆さまのご来場をお待ちしております


▼最後に、また雪片の農薬

最初のパラグラフで明記した通り、基本的に日本の検疫所で鳳凰単叢の抜き取り検査(モニター検査)は行わなわれません。

最近も、低山〜中山域の大量に雪片を生産するエリアでは稀に基準値以上の残留農薬が検出されるケースも見られるとの事なので複数の農家さんから

”低山〜中山域の低価格な雪片はあまり飲みすぎるなよ”と忠告をうけました。

飲んで直ぐに健康被害が出るとは考えにくいのですが、お正月にお雑煮を食べたり、ひな祭りに雛あられを食べたりする感覚で

旬の飲み物として雪片を楽しもうと思いました。


補足:私は農産物に農薬や肥料(化学肥料を含む)は必須であると考えている立場であり、無農薬や有機栽培の農産物のみが日本の農業にとって最適解であると考えているわけではございません。